(※2024年5月5日 朝日新聞の記事を参考に要約しています。)
東京都品川区の家族と住まいの課題 スペースとプライバシーのバランスを模索
東京都品川区にお住まいのあるIT会社員の女性(41歳)は、駅から徒歩約5分の地点に位置するマンション(3LDK、約70平方メートル)でご家族と共に生活されています。
2020年1月にこの住まいで生活を開始された際には、夫と長女(7歳)、次女(5歳)の4人家族でしたが、その後、三人目のお子様を妊娠されました。
女性の脳裏をよぎったのは、「一人一部屋を確保できない」という問題でした。今年1月に誕生した三人目のお子様は男の子であり、いずれは姉二人とは別の部屋を用意する必要があると感じています。また、三人のお子様には中学受験をさせる予定で、勉強部屋が必要と考えております。リモートワークが中心となるため、集中できる環境の確保も重要です。成長に伴い、プライバシーを適切に考慮することが求められ、限られた部屋数と広さの中で何を優先させるか、その都度検討しなければならないと考えています。
東京のマンション市場動向、3LDKの平均面積は縮小傾向に
不動産調査会社「東京カンテイ」の調査によりますと、東京における一般的なマンションの3LDKの平均専有面積は、10年の74.6平方メートルから23年には5%以上縮小し、70.67平方メートルになりました。
同社の井出武上席主任研究員は、「3LDKの面積は、持ち家を重んじる国の住宅政策や国民の所得向上、子どものプライバシーへの配慮、家族構成といった複数の要素が組み合わさった結果である」と述べています。都心部での不動産価格の高騰が続く中、広い部屋を確保することが年々困難になっており、「十分な部屋数が確保できなければ、家族構成にも影響を及ぼす可能性がある」と指摘しています。
柔軟性を追求する住宅、自由に変えられる間取りのマンションが注目される
現在、間取りを自由に変更できるマンションに対する関心が高まっています。伊藤忠都市開発(東京都港区)は、可動式の「ウォールドア」や収納家具を活用し、間取りを1~3LDKに調整できる「間取りのない家」を提案しています。東京都江戸川区に位置するクレヴィア西葛西(49戸)では、準備された39戸の3LDKが6000万~8000万円台で完売しました。
同社の吉村和樹さんは、「生活価値観の変化に伴い、固定された間取りが住む人々の生活を制約している」との問題意識を持っていると言います。購入者は主に30代で、小さいお子さんがいる家庭や将来的に子どもの数が未定の方々が多かったとのことです。
変化する住空間、可動式クローゼット「ウゴクロ」で柔軟な居住環境を実現
長谷工コーポレーション(東京都港区)は、2018年から可動式のクローゼット「ウゴクロ」を導入し、居室を仕切ることで部屋の広さを調整したり、新たな部屋を作り出したりすることができるようになりました。このシステムは、ライフスタイルに柔軟に対応できるとして好評を博し、これまでに1,000戸を超える数の供給を行っています。
長谷工アーベストの販売担当者は、「『リビング学習』が普及しつつあり、最近では必ずしも子ども一人につき一部屋が必要とは考えない方も増えている」と述べています。「間取りを自分たちの生活に合わせたいというニーズを肌で感じている」とも語っており、住宅市場における新たなトレンドを示しています。