前回「我慢ができない子を育ててしまう親の行動」についてご紹介しました。
現代社会では多くの人が欲しい物がすぐに手に入り、やりたいことに挑戦しやすくなっています。
子どもたちも「ほしい」「やりたい」が叶いやすくなり、我慢ができない子に育つ傾向にあることは否めません。
しかし、我慢させるだけではマイナスな側面もあります。
自己肯定感を高めつつ、ワガママばかりいわない子に育てるにはどうしたらよいのでしょうか。
受け身の我慢と自発的な我慢
我慢には親や先生などの周囲の人から強いられる受け身の我慢と、自分自身がそうしたいと思って進んでやる自発的な我慢があります。
保護者の方から「我慢しなさい」と叱られてばかりいると自己肯定感は低くなるでしょう。
大事にされていない、希望を叶えてもらえないと思うからです。
一方でスポーツなどで結果を伸ばすためや自分が成長するために自分からする我慢は自主性や自立心が育まれ、周囲に認められることと相まって自己肯定感が高くなります。
ただし、受け身の我慢ができない子に見えて実は自己主張が強いだけの場合もあります。
自己主張が強い場合は自分の目的や理想が明確で「どうしたいのか」がはっきりしているため訴えているケースもあるのでその見極めが大切です。
ただのわがままの場合は「どうしたいのか」が曖昧で、自分を受け入れてほしいと訴えることが目的となっています。
自己主張が強かったり、自分の要望を伝えたりすることは必ずしも悪いことではありません。
しかし、そのせいで将来的にも人間関係で悩むようになるのは避けたいところです。
我慢できる子になるために親がしてあげられること
京都大学大学院准教授の森口佑介先生が提唱する 忍耐力を子どもにつけてほしいと願う保護者にできることをご紹介しましょう。
参考にして取り入れてみてください。
安心できる環境づくり
「子どもがまだ幼いうちは「安心できる家庭環境」をつくることを最優先にするべき」と森口先生。
三つ子の魂百までとは言いますが、なんと保護者とお子さんとの関係性を4歳までに良好に築き上げていないと、4歳以降に「我慢する力」が十分に育たないということがこれまでの研究でわかっているそうです。
「しつけ」をすることも大切ですが、まずはお子さんが一緒にいて安心・信頼できる親子関係をつくることを意識しましょう。
「褒める」よりも「認める」
気持ちが安定していて何事にも前向きに取り組むことができる子は自己肯定感が高いです。
自分のやり方で理想にたどりつけるため、自発的に我慢して無理にわがままを通そうとすることはありません。
お子さんの姿をみて「がんばっているね」「自分でできたね」とほめるよりも認めてあげることで自己肯定感を伸ばすことが忍耐力を育むために大切なのです。
親がお手本になる
お子さんに我慢強くなってほしいと願うのであればまずは保護者がお手本を見せるのが一番です。
「お菓子を食べたいけれどおいしい夜ご飯が食べられなくなるから今はやめておこう」と子どもの前で保護者の方自身が我慢する姿を見せます。
我慢をすることで良いことが起きるということを保護者の方が我慢する様子でお子さんは理解していくでしょう。
保護者の方が思っている以上に親の言動が子どもに与える影響は大きいのです。