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育脳お役立ち情報

公立小学校でも塾のノウハウを学ぶ!動画教材とデータで効率化

学校の授業に学習塾の指導手法を取り入れ、授業内容の充実を図ろうとする取り組みが公立小学校で進められています。
塾と教員が協力し合い、民間教育の強みを公教育の現場に生かしている点が特徴です。
(※2025年11月26日 朝日新聞の記事を参考に要約しています。)

教員は授業作りに注力できる

昨年の10月上旬、埼玉県戸田市立笹目小学校では、5年生の算数の授業で分数の学習が行われていました。
児童はイヤホンを装着し、それぞれの端末で解説動画を視聴しながら、考え方や解き方を確認していました。
その後は、自分の理解度や進度に合わせて問題に取り組んでいきます。
教員は挙手した児童のもとへ行き、助言を行ったり一緒に答えを確かめたりしながら、「惜しい」「いいですね」など簡潔な声かけで学習を支援していました。
使用されている動画や問題は、個別指導塾「コノ塾」を展開するコノセル(本社・東京)が提供する教材です。
問題の進め方だけでなく、教員が行う声かけの内容やタイミングについても、同社の指導ノウハウが活用されています。
教材は学習単元ごとに細かく構成されており、児童はおよそ5分程度の解説動画を見た後、制限時間内に問題を紙のノートに解きます。
その後、自分で採点を行い、理解できた問題を端末に記録すると、次の学習内容へ進む仕組みとなっています。

一人ひとりの学習進度に合わせた新しい授業スタイルが実現

担任の加藤剛教諭は、児童が端末を活用しながら自分のペースで学習を進められるため、従来の授業に比べて集中力が持続しやすいと感じているといいます。
コノセルでコンテンツ開発を担当する吉田幸弘氏は、学習データを蓄積することで、子どもごとの得意分野や苦手な点を細かく把握できると説明しています。
また、効率的に基礎的な内容を学べることで授業時間に余裕が生まれ、その分を教員独自の指導に充てられる点も大きな利点だとしています。
この日の授業は、知識を取り入れる「インプット」を中心とした内容でした。
教員は当日中に各児童の学習データを確認し、どの部分でつまずいているのかを分析します。
その結果をもとに授業計画を見直し、別の日には理解度や進度に応じた、よりきめ細かな指導を行っています。
さらに、週に1回程度はコノセルの担当者とともにデータを振り返り、授業の課題や改善点を共有しています。
単なる教材提供にとどまらず、授業改善を共に考えるパートナーのような関係を築いているのが特徴です。
加藤教諭は、学習状況がデータとしてすぐに可視化されるため、次の授業に反映しやすいと話します。
生まれた時間を活用し、子どもが自分の考えを説明する力を育てる授業により力を入れていきたいと考えているそうです。
授業の終盤には、問題の解き方や考え方を児童同士で伝え合う時間も設けられていました。
説明する児童が式を示しながら話すと、聞いていた児童からは「とても分かりやすかった」という声が上がり、理解を深める様子が見られました。
加藤教諭は、進度に応じた授業にすることで、普段は受け身になりがちな児童も説明する側に回り、自信を持って学習に取り組めるようになると実感しています。
コノセルとの連携は9月から開始され、現在は5年生の算数に限定した試行的な取り組みです。
保護者からは「算数が苦手だった子どもが、学ぶことを楽しそうに話すようになった」といった前向きな声も寄せられています。
杉森雅之校長は、自分のペースで基礎を学びつつ、教え合いを通じて多様な考え方に触れられる点に手応えを感じているといいます。
また、教員は支援が必要な部分や発展的な学びの設計に注力できるようになり、単にデジタル教材で個別学習を行うだけの授業とは大きく異なる効果があると評価しています。

公教育と民間教育の連携が広がる-背景には何がある?

文部科学省の担当者によれば、学習塾と協力して授業内容を構築する取り組みはまだ珍しい事例とされています。
ただし、デジタル教材の導入や放課後の学習支援、課外講座などの形で、民間の教育資源を学校教育に取り入れる動きは徐々に広がっています。
千葉県教育委員会では2023年度に、一部の小学校5年生の算数の授業において、塾講師が一定期間、教員に代わって授業を担当する試みを実施しました。
これは教員の指導力向上を目的としたもので、塾講師の指導方法の優れた点を学ぶ機会にもなったとされています。
さらに2024年度および今年度は、児童生徒の学力向上を目的として、2つの学習塾と連携した取り組みが進められています。
県内の小中学校10校をモデル校とし、週2回程度、塾講師が授業に補助教員として参加し、放課後には個別の補習指導も行っています。
対象教科は、小学6年生の算数と中学3年生の数学および英語です。
県教育委員会の担当者によると、こうした取り組みにより学力の向上だけでなく、学習への意欲の高まりも確認されているとのことです。
今後は、このモデル事業の成果を踏まえ、各市町村において同様の連携施策が継続的に展開されることが想定されています。

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