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幼児教育関連ニュース

国内初!未就学児の長期追跡調査

文部科学省が国内で初めての調査を行うことを発表しました。

就学前の5歳児数万人を対象にした長期的な追跡調査で、成人になるまで調べる方向です。

このデータを分析したあと、効果的な教育プログラムを開発することを目的としています。

今後13年から15年ほどあとのことになりますが、幼児教育の質向上につながることが期待されています。

 

文部科学省の長期追跡調査

幼稚園や保育園、認定こども園などの保育施設では、それぞれの保育、教育方針によって遊びや体験を通じた好奇心や協調性といった学力のベースとなる力を育てる幼児教育が行われています。

その中で行われる文部科学省の調査は、こうした幼児期の教育や体験活動とともに家庭環境がその後の成長や生活にどのような影響を与えるかを長期的に追跡するものです。

対象は就学前の5歳児数万人。

現在の幼児教育と取り巻く環境を調べ、その学力や進路がまず調査されます。

成人になってからの職業や年収などまで調べる方向で、その調査から得られたデータを解析し、その後の教育プログラムの質や効果を向上させたいと考えています。

 

追跡調査の内容

長期的な追跡調査の内容として、現在対象の幼児が通う保育施設の教育内容や体験活動、保護者の年収や就業形態などの家庭環境が調べられます。

引き続き小学校入学後に同じ対象の子どもの学力や進路状況を調べ、継続して成人になってからの職種や年収などの情報を集めていく方向です。

頻度としては小学校3年から4年くらいまでは毎年調査を行い、その後成人になるまで感覚を開けながら実施される予定です。

想定している結果と同様の調査結果が得られるか、さまざまな効果が検証されるでしょう。

例えば、

幼児期に社会性を育むと学校での新生活に順応しやすい

夢中になる経験があると授業に集中しやすい

などと言った効果の検証です。

データが集まり解析が進むことで幼児教育の質が高まることが期待されます。

 

追跡調査の着手

令和5年度から文部科学省より委託を受けた大学が調査方法を検討、志向調査などを経て本格的な調査に着手します。

幼児教育に詳しい東大名誉教授汐見稔幸氏は

「日本の教育環境下で何が有効なのか調べ、エビデンスに基づいて幼児教育を開発する意義は大きい」

とこの追跡調査について理解をしています。そのうえで

「家庭環境を調べることは重要だが、差別につながらないような配慮も必要だ。それぞれの子どもの能力を、全体的に伸ばしていくことが求められる」

と指摘しているため、保育現場としても求められることが出てくるのではないでしょうか。

 

海外でも高まる幼児教育の重要性の認識

こうした追跡調査は海外のほうが進んでいます。

アメリカでは、1960年代に低所得者層の幼児に対し、教育プログラムを実施する群としない群に分け、その後の状況を現在も追跡調査している「ペリー幼児教育計画」が知られています。

その結果、教育プログラムを実施した群はしなかった群と比較して40才児店で年収が2万ドル以上に達した割合が1.5倍になり、犯罪歴も少なくなる傾向がみられたのです。

幼児教育には1ドルの投資で12.9ドルのリターンがあると報告書で挙げられています。

この「ペリー幼児教育計画」の調査がきっかけとなり、海外諸国では幼児教育の重要性の認識が高まったとされているのです。

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