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幼児教育関連ニュース

60代で保育士に挑戦!元新聞記者男性、本も出版

事件記者として長年活躍した新聞記者が、退職後に選んだのは保育の道でした。
63歳で短大に入学し、10代の学生たちとともに学ぶ日々をユーモラスに描いた書籍『事件記者、保育士になる』(CCCメディアハウス)が、23日に刊行されました。
初めて挑戦するピアノや裁縫に悪戦苦闘しながらも、保育の現場で子どもたちが成長するうえで大切なことを学んでいく姿が綴られています。
(※2024年12月23日 朝日新聞の記事を参考に要約しています。)

事件記者から保育士へ、幼い命を守るための決断

著者の緒方健二さん(66)は、2022年4月に北九州市の東筑紫短期大学保育学科へ入学し、2024年に卒業しました。
1982年に毎日新聞社へ入社し、1988年からは朝日新聞社で勤務。
39年間にわたり事件取材を続ける中で、幼い子どもが犠牲となる誘拐や殺人、虐待の事件に何度も直面しました。
「なぜ罪のない子どもたちが、こんなにも理不尽な目に遭わなければならないのか」――。そうした思いが、保育の道を志すきっかけとなりました。

子どもを守るために・・・事件記者が見つけた新たな使命

あるとき、虐待事件の捜査を担当していた警察官がこう語りました。
「捜査で被害者の無念を晴らすことはできるが、成育環境まで手を差し伸べることはできない」。
この言葉は、ずっと心に残っていました。
子どもたちを守るために、自分には何ができるのか――。
2021年に新聞社を退職し、これまでの取材ノートを読み返していたとき、まるで子どもたちの声が聞こえてくるようでした。
「取材を振り返るだけでいいの? そもそも私たちのことをどれだけ理解しているの?」
その問いかけが、新たな道を歩むきっかけとなりました。

事件記者から保育士へ、新たな学びと挑戦の日々

専門的な知識を学び、実際に現場に入ることでこそ、自分にできることがあるのではないか――。
そう考え、短大の保育学科に入学することを決意しました。
しかし、そこには想像以上の「難敵」が待ち構えていました。
ピアノや折り紙など、授業で取り組むのは全くの未経験ばかり。
学生や教員に助言をもらいながら、必死に挑戦する日々が続きました。
そんな中で、多くの「遊び」を保育士が習得する理由も学びました。
それは、子どもの健康や人間関係、環境、表現といった成長に欠かせない要素だからです。
短大での生活を取材した新聞記事が掲載されたことをきっかけに、編集者の目に留まり、今回の出版が実現。
本では、記者時代から短大卒業までのさまざまなエピソードが綴られています。

子どもの幸せのために。事件記者が見つけた新たな使命

ピアノは楽譜も読めない状態からのスタートでしたが、電子ピアノを購入し、懸命に練習を重ねました。
卒業までに課題となっていた64曲に取り組み、少しずつ弾けるようになっていきました。
しかし、一番大切なことを教えてくれたのは子どもたちでした。
実習先で、ある子どもがこう話しかけてきました。
「せんせいが勉強しているのは、ぼくたちを幸せにするためなんだよね」。
その言葉に、大人が子どものためにすべきことを改めて考えさせられました。
現在、緒方さんは虐待や事件取材をテーマに講演活動を行うほか、保育施設の運営や設立も視野に入れています。
「子どもを守るための社会の仕組みは、まだ十分とは言えません。学んだ知識を『子どもの最善の利益』のためにどう生かすか、これからも考えていきたい」と語っています。

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